
今日の話は「ウイスキーの樽の歴史」かぁ~
これは飲みながら聞きたいね



歴史の話ってロマンがあるから、お酒が進んじゃうよね~
ウイスキーを芳しい香り放つ琥珀色の美酒に変えた「樽」。
今でこそ樽で熟成させるウイスキーですが、昔は無色透明の荒々しいまま飲まれていました。
樽熟成の始まりがウイスキーを大きく発展させたことは言わずと知れたことだと思います。
ところが、ウイスキーの樽熟成の歴史は意外と浅く、200年ほどしかたっていません。
ウイスキー自体は、600年以上もの歴史があるのに……。
ただ、その樽の歴史には、ウイスキーの魅力がわかる深いロマンがあります。
そこで今回、樽の歴史について深くわかりやすく見ていこうと思います!!
合わせて読みたい⇨ウイスキーの熟成について|瓶内でも熟成される?樽熟成とは?
- 樽の誕生
- ウイスキーの熟成に樽が使われるようになった経緯
樽の歴史


いつ今の形の木樽が誕生したかは、不明です。
紀元前1000年以前には、古代バビロン人やエジプト人によって作られていたとされています。
すでに木造船が製造されており、木を曲げる加工が確立されていました。
木造船の製造、特に船底には、
- 木を曲げる
- 水が漏れない
この2つの技術がマストとなります。
さらに木造船に用いられる木材はオークというブナの木です。
オークは、
- 頑丈
- 水に強い
- 腐りにくい
性質があります。
木造船の発達が、樽の発明につながったといっても過言ではないのではないです。



おおぉぉぉ!
かっけー!なんかロマンを感じるよ。



技術の発達には、戦争や人の欲が絡んでくるからね~。
皮肉なものだよね。
紀元前3世紀ごろ、ワインを提供するときに使っていたアンフィラという粘土製の容器に変わって樽が使われるようになったそう。
ローマからヨーロッパ中に樽が広まっていきました。
粘土製の容器に比べて、軽量で壊れにくい木樽が実用化されたことにより、格段に運搬効率が上がったことでしょう。
ところが、当時の樽は今の樽の形より「桶」に近い形だったそうです。
今の樽の形を作ったのは、フランス西部森林地域に住んでいた遊牧のケルト人だといわれています。
鉄製のタガをはめ、強固な樽を作っていたそうです。
のちにケルト人は、グレートブリテン島そしてスコットランドやアイルランドへ移住。
そこで文明を築いていきます。





つまり、スコットランド人やアイルランド人の祖先たちが樽を開発したってこと?



あくまで一説によるだけどね。ウイスキーに樽を使うのは必然だったかもね。



アツい展開だね!
そして中世には、今の樽の形が確立されました。


真ん中が膨れた樽の形には大きく3つの理由があります。
- 液体が漏れにくい堅牢さ
- 長い期間の貯蔵にも耐えられる強度
- 転がしやすく、運びやすい
などといった効果があります。
11世紀から13世紀の十字軍遠征時には、食料や飲料が樽に詰められ輸送されていたという記録があるそうです。



十字軍の遠征によって、さらに木樽がヨーロッパ中に広まったかもね。



ロマンを感じて面白い話だったけど、小難しいからここで一杯もらうね。



もう呑んでるじゃん。。
樽が熟成に使われ始める


そんな樽の歴史ですが、16世紀ぐらいまでは「熟成」として使われることはあまりありませんでした。
初めて樽熟成が注目されたのは、16世紀にブランデーの輸送中に起きたミスからです。
16世紀末のある日、木樽に詰めたコニャック(ブランデー)が北米に船で運搬されました。
当時のブランデーにも熟成という概念はなく、無色透明の荒々しいお酒だったそうです。
無事北米に到着した輸送船。
ところがこの時、積み荷のブランデーをおろし忘れてしまいました。
そのまま、フランスに帰ってきたブランデー。
開けてみると、無色透明だったブランデーが琥珀色の芳しい香りの美酒へと変貌していました。
ここからコニャック・ブランデーの熟成の歴史が始まったのです。
ただ、ワインでは樽熟成がすでに知られていたこともあり、ワインからブランデーも熟成されるようになった説もあります。


いつからお酒の熟成が始まったかは定かではありませんが、このような間違いから始まったという説がよく語られています。



失敗は成功の基だね~。



本当にそうだよね!



でもブランデーが先ってことは、ブランデーからウイスキーの熟成が伝わったってこと?



実はここからがややこしく、面白い所なんだよ~。
ウイスキーの熟成に樽が使われるようになるのはもっと後の話。
熟成という概念が生まれる前は、ウイスキーも無色透明な荒々しいお酒でした。
その荒々しさをとるために、ドライフルーツやスパイスをつけたり、甘みを足したりしていたそうです。
18世紀ごろウイスキーへの酒税がかけられ始めました。
ウイスキー蒸留所は、重税に苦しむこととなります。
その酒税を逃れるために、秘密裏にウイスキーを作る密造が盛んとなりました。
俗にいうウイスキー密造酒時代の始まりです。
この時、作ったウイスキーを隠すために、当時イギリスで入手しやすかったシェリー輸送用の樽に詰められました。
イギリスは、今でもシェリー酒の一大消費国です。
当時、ワンウェイ樽に詰めて運搬されていたシェリー酒。
その空き樽が英国中の主要港に転がっていたそうです。
密造家たちは、その樽に密造酒を詰めて隠していました。
シェリーの空き樽に隠していると、ウイスキーは熟成。
無色透明だったウイスキーが、琥珀色の魅惑的な酒へと変貌していました。
ここからウイスキーの熟成が始まったといわれています。



えっ!
つまりバレないように隠したら、めっちゃうまい酒になってたってこと?



そういうこと!!
もしウイスキーが密造されなかったら……って思うよね。
ただ前記したようにブランデーではすでに熟成が行われていました。
もちろんイギリス上流階級には、熟成されたブランデーが飲まれていました。
そのため、熟成されたブランデーを知る人から熟成の概念が伝わったのではないかって説もあります。



密造酒を隠したら熟成された説は、支配されていたイングランドへの反抗心から語られることも多いね。



そういう政治的背景もあるんだね。。



お酒の歴史ってその時代の歴史と密接に関わってるんだよね。
そこが難しくて面白いところ



悲しい過去が深い味わいを生んでいるんだね~。



かわず君、いいこと言うね!
ウイスキーは、密造酒を隠すために樽に詰めたことが熟成の始まりとしてよく語られます。
ウイスキーが、何かのお酒に使っていた樽で熟成させることが多いのは、ここから来ているのかもしれないですね。
熟成されたウイスキーに人々は魅了され、徐々に樽熟成が義務となってきました。
最後に……
ウイスキーの樽熟成の始まりは、樽やウイスキーの誕生に比べると歴史が浅いです。
ただその浅い歴史の中には、深いロマンやストーリーがあります。
- イギリスの政治的背景
- ほかのお酒との関係
などなど。
特にお酒の歴史は、世界史と密接に絡んできます。
皮肉なことに、おいしいお酒ほど悲しい歴史に巻き込まれていることが多いです。
もしかしたら、そういった歴史があるからこそ人々を魅了するのかもしれません。
今回の記事でウイスキー樽の歴史からウイスキーの魅力がお伝えできたらいいなと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました!
また次回もよろしくお願いいたします!!
筆者がほかに運営しているブログ
コメント
コメント一覧 (2件)
[…] 関連記事⇨ウイスキーの樽の歴史。琥珀色の美酒はこうして生まれた […]
[…] 合わせて読みたい→ウイスキーの樽の歴史。琥珀色の美酒はこうして生まれた […]