
オイラ、「くさっ!」ってぐらいスモーキーなウイスキーにいつの間にはハマっちゃってたよ
ウイスキーの印象的な個性といえば「スモーキーフレーバー」だと思います。
スモーキーなウイスキーは
- ピートタイプ
- ピート香のするウイスキー
などといわれますが……
「ピート(Peat)」がよくわからない人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は「ピート(Peat)」についてみていこうと思います。



ちなみに僕のアカウント名「Yaffee」はピートにちなんだ名前なんだよ。



そこはどうでもいい情報だなぁ~。
- 「ピート」について
- ピートがウイスキーにもたらすもの
- ピートはいつウイスキーに使われるのか
「ピート(Peat)」とは


ピート(Peat)は日本語では「泥炭」と書きます。
ウイスキー文化研究所の説明文では、
「 ツツジ科エリカ属の低木ヒース(ヘザー)や草、樹木などが堆積してできた泥炭、草炭のこと 。」
簡単に言えば「燃える泥 」ということ。


実はピート・泥炭は石炭の一種で、石炭として固まる前の泥の間の状態が『ピート』です。
無酸素状態で、年月をかけて植物などが堆積・分解。
炭化したものがピートです。
ピートは数千年に15㎝の層しかできないそうで、限りある資源でもあります。



そんな。。。(泣)
限りある資源だと、いずれピートがなくなっちゃうんじゃ……。



そうだね。
しかも英国のピート湿地は広大だけど、80%は「劣化」状態だそう。
だからウイスキーでも環境保護が注目されているんだよ。
数回の氷河期で、スコットランドから樹木はほとんど消え失せ、代わりに広大なピート湿地(ピートホグ)ができました。
スコットランドの英雄「ウィリアム・ウォレス」を題材にしたメル・ギブソン主演の映画「ブレイブハート」でも暖をとるためや料理のためにピートを使うシーンが描かれています。
\ メル・ギブソン主演・監督の歴史スペクタクル /
スコットランドやアイルランドなど北欧地域では、古くから一般家庭の燃料として使われてきました。
ピートはウイスキーにいつ使うの??


スモーキーフレーバーを付与するために使われるピート。
一体ウイスキーの製造工程のどのタイミングで使われるのでしょうか?


ピートを使うタイミングは、
麦芽の乾燥時です!!
麦芽は、水に浸してゆっくりと発芽させますが、そのままウイスキーに使われることはほとんどありません。
発芽後、乾燥作業が必ず入ります。
詳しくは⇨ウイスキー造りに必要不可欠な「麦芽(モルト)」とは?大麦と麦芽の違い・歴史・作り方など徹底解説!
乾燥させる理由は……
- 乾燥させないとすぐに腐ってしまうから
- 麦芽の生育を止めないといけないから
大きくこの2つの理由が挙げられます。
その乾燥時の熱源に使われるものがピートでした。
今では「無煙炭」や「熱風」が使われることも多くなり、ピートを焚いていないノンピートのウイスキーも多くあります。
ピート(Peat)をいつから・なぜウイスキーに使うようになった?


いつからウイスキーにピートを使うようになったかはわかりません。
ピートは、スコットランドやアイルランドでは古くから一般的な燃料として使われてきました。
つまりウイスキーがつくられるようになる前から、麦芽の乾燥にピートが使われていたのではないかと思います。



ピート自体は、何十世紀も前から燃料として使われていましたし、麦芽も古代からあったそう。



そんな昔から麦芽もピートも使われていたんだぁ~
麦芽(モルト)は古代から作られていました。古代のパンのほとんどはモルトを使ったものだったそう。
この麦芽の乾燥にピート使っていた可能性は大きいと思います。
さらにピート麦芽を使ったビールもあります!!
ウイスキーにピートを使うようになった理由は、スコットランドでは ピートが一般的な燃料だったから となるかなと思います。


そして当時のスコッチの考え方に、今のウイスキー造りのような「スモーキーな香りをつけたかったから」という考えはあまりなかったかもしれません。
昔は、乾燥時間のすべてをピートで乾燥さているものが多かったそうです。



ずっとピートで燻製したウイスキー。
どんな味がするんだろう



全時間ピート乾燥させたウイスキーはあるよ!
スプリングバンク蒸留所の「ロングロウ」ってやつ



……え!
あるんだ!
どんなクセものなんだろう……
今では無煙炭や熱風乾燥など様々な技術で麦芽を乾燥させることができます。
それでもいまだにウイスキーにピートが使われるのは「 ピート乾燥の独特なスモーキーフレーバーが欲しいから 」です。


ピートによるスモーキーフレーバーについて


ピートにも種類がある!?


実は一言にピートといっても様々な種類があります。
主に
- 炭化度合いの違い
- ピートの産地による内容物の違い
が挙げられます。
年数による炭化度合いの違い


ピートは炭化の進み具合から、
- フォギー
- ヤフィー
- モス
など呼び方が変わります 。
- 「フォギー」は8000年程度の若め
- 「ヤフィー」は12000年の中程度
- 「モス」が16000年程度の古め
といった感じです。
要は、掘り出される深さによって変わってくるのです。



ちなみに僕のアカウント名Yaffee(ヤフィー)は、ここからとったものだよ



………。
産地の違いによる内容物の違い!!


ピートは、掘り出される場所によってもウイスキーの香りや味が変わります。
たとえば海沿いや島のピート(アイラ島など)を使うと、クセの強いタイプになりやすいです。
ピートの中に海藻が含まれているそうで、ヨウ素・ヨードが含まれています。
ヨード香・保健室の消毒液・正露丸といった香り・フレーバーがつくことが多いです。


この香りがスコッチの中でも個性的なアイラモルトの特徴となっています。
対して内陸のピートは、ダイレクトな薫香、パンチのあるスモーキーフレーバーとなることが多いです。
スコットランドのピートの島


ピート湿地(ピートホグ)はスコットランドの本土では北部に多いですが、ウイスキーの聖地・アイラ島では島の1/4がこのピート湿地です。
さらに新しくウイスキー蒸留所ができたばかりのルイス島では島のほとんどがピート湿地だそうです。
ちなみにアイルランド島は約2割がピート湿地で、今でも家庭用燃料にピートを使うそうです。
しかし、アイリッシュウイスキーでは、ピートを焚いているウイスキーはあまりありません。



アイルランドの人はピートが好きでなないのかな……。



今、ピートタイプのアイリッシュウイスキーも見かけるようになってきたよ~。
日本でもピートはある!?


日本のピートは、スコットランドやアイルランドに似た気候の北海道にあります。
竹鶴政孝が夢見た100%国産ウイスキーの理想郷がまさに北海道・余市でした。
余市は……
- 清らかな水
- 豊富なピート湿地
- 湿度の高くウイスキーの熟成に適した環境
どれをとってもウイスキー造りに適した場所だったそう。
北海道には、まだまだウイスキー造りに適した場所があります。ここ最近多くのクラフト蒸留所できています。
- 厚岸蒸留所(あっけし)
- 紅櫻蒸留所(こうえん)
- ニセコ蒸留所
などがあり、他にも計画中のウイスキー蒸留所があるそうです。
特に厚岸は、北海道産ピートを使用したウイスキーをすでに作っています。



今後日本のピートを使用したウイスキーなんか元出てくるかもしれません。
楽しみですね!
ピートを掘ると環境破壊に!?


ウイスキーにスモーキーフレーバーを付与し、人々を魅了するピート。
ところが、ピートを採掘することは自然環境に甚大なダメージを与えてしまうこともあるそうです。
英国の泥炭地は約270万ヘクタールあるそうで、世界有数の面積があります。
ピート湿地は、何万年もの歳月をかけて作られていく地球が作り出した環境です。
その珍しい環境には、そこにしかいない生物も数多くいます。
伝統的なピート採掘の方法では、その環境は破壊してしまうのです。
また泥炭地は、カーボンシンク(二酸化炭素吸収源)。
ピートを採掘することで、大量の二酸化酸素が排出されてしまいます。
他にも、ピート地の劣化も環境破壊の理由となってしまいます。
実に、英国にあるピート地の80%はすでに劣化状態だという見解もあるそうです。
劣化に関しては、ピート採掘より人為的な野焼きの方が影響を及ぼしています。
ただ、この問題に対してウイスキー業界は……
- 伝統的な採掘方法の再検討
- 泥炭地の修復プロジェクト
- ウイスキーメーカーの環境保全への寄付
など、修復・改善に向けての動きを見せているそうです。
人々を魅了するスモーキーなフレーバー。
その香りを守るために、業界の活動を見守りながら環境保護に協力していく必要があるかもしれませんね。
参照記事:ピート採掘と環境保全|Whisky Magazine Japan
最後に……


最後までお読みいただきありがとうございます。
今回のお話いかがだったでしょうか?
ウイスキーにとって独特なスモーキーフレーバーの元となるピートはかけがえのないものです。
ところがピートは何万年もの歳月をかけて出来上がる有限資源。
ウイスキー好きとして、ピートの奥深さと大事さを今回の記事で伝えることができたらうれしいです。



ピートの事から、環境保全のことを学ばされるとは思いもしなかったよ。。



後世までスモーキーなウイスキーが楽しめるように、個人でもできることを見直していきたいよね。
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コメント
コメント一覧 (2件)
自分はアイリッシュのような飲みやすすぎるのよりは、スコッチのようなピートの香りがするちょっとエグいくらいが好きですね(‘ω’)
日本だと亜炭が燃料に使われましたね♪(´ε` )イギリスは良質な無煙炭が手に入るなど、炭の国ですね( ´∀`)
id:okatruck さん>コメントありがとうございます!!
スコッチのピート香はうまいですよね!!
アイリッシュもピートタイプがあったりするので、そちらも面白いかもしれません!